声優の収入事情とは？給与の仕組みや職種別年収ランキング

アニメ業界の花形ともいえる声優業は若者を中心にあこがれの職業と位置づけられ高校卒業後に声優の専門学校に進む人口も年々増えています。

しかし、声優の人口が増えたからといって全員が声優で食べていけるわけではありません。

それだけで生計を立てられる人の数はほんの一握り。道半ば辞めていってしまう人もたくさんいる世界です。

ただ、だからといって今の段階で諦める必要もありません。

なぜなら声優業界の収入事情や給与の仕組みを理解すると、声優で一定の収入は得られるようになるからです。

今回の記事ではそのような「声優の仕事とお金」についてまとめているのでこれから声優を目指そうと思っている学生の方は是非参考にしてみてください。

声優の収入事情

声優を目指すなら、声優の平均年収がいくらか気になる方も多いと思います。

声優の7割以上は年収300万円以下であり、約半数が100万円以下になります。

こちらは、【VOICTION】というサイトが2022年9月から調査を行った結果です。

ただしこれはあくまで声優業界全体の平均なので、実際の声優の年収は『人による』としかいいようがありません。

例えば、2人の新人声優が同じ事務所に所属したとしましょう。

一人はアニメのオーディションに受かり、1クール(3カ月)分の仕事をゲットし、一方はオーディションに落ちてしまい3カ月一切仕事がない状態になることなんて、珍しくありません。

そして声優は事務所に雇われているのではなく、『個人事業主』になります。

そのため、サラリーマンのように会社から毎月決まった給料が支払われる固定給ではなく、完全に成果報酬制になりますので、仕事がなければお給料は一切なく月々の給与は0円になります。

声優のよく聞く話として声優を目指している方は全国で30万人ほど存在するといわれており、その内声優としてデビューできる人は1万人前後でさらに声優の仕事だけでご飯を食べられるようになる人は３００人程（1万人中）といわれていることをご存知でしょうか。

こちらは、『ABEMA Prime』にて下記のデータをだしています。

表を見る限り声優一本だけで食べていける人はほんの一握りしかいないということですね。

では声優の仕事だけで食べていけない人は一体どうしているのでしょうか？

それはアルバイトをして生活費を稼いでいるのが現状です。

とくに新人声優のほとんどがアルバイトをしてお金を稼ぎながら声優の仕事もしていることを理解しておきましょう。

後程詳しく説明しますが声優のアニメのアフレコや海外映画の吹き替えの報酬は『ランク制』というものを元に計算されています。

その中でも新人はアニメのアフレコ一話に出演した際に貰える報酬額を一律1万5000円で設定されているため、仮に1クール(3カ月)分の仕事を獲得したとしても下記の金額しか貰うことができません。

ここから事務所がマネージメント料として20～30％分取り、更に源泉徴収分が引いた金額が、声優の手元に入ります。

なので、声優に手元にはいる報酬額はだいたい6割程度といわれているため新人声優が仮に主役を勝ち取っても3カ月で手に入るお金は約10万円ほどになりますね。

これは、新人声優でもオーディションで受かった場合の話であり、オーディションに落ちてしまった場合はもちろん自身に入ってくるお金は０円です。

声優の仕事にはアニメのアフレコ以外にもいろいろありますが、そういう仕事は事務所のイチオシ声優に話が回ってくることが多いため新人声優という立場で回ってくるかと聞かれれば、なかなか難しいのが現状です。

また声優事務所で『所属』か『預かり』かでも報酬面が違ってきますね。

このような現状から新人声優のほとんどが声優業と並行して生活費を稼ぐためにアルバイトをされているようです。

以上のことを踏まえた上で、それでも声優を目指していきたいと思っている方は下記の『声優の給与の仕組み』について知っといた方がいいでしょう。

声優の給与の仕組み

声優になるために、演技の勉強も大事ですが、給与の仕組みを知ることも大切です。

声優の給与の仕組みを知ることで自身が月にどれくら稼いだか把握ができ、そこから逆算してアルバイトの時間や演技の勉強をする時間を作りだすことができるからです。

新人声優の場合は声優業とアルバイトを両立する人が多いですが、それ以外にも演技の勉強や台本を覚えたりと時間がいくらあっても足りません。

なので、自身がどれくらい稼いだかを把握するということは、アルバイトに割く時間や勉強に割く時間を計算でき、結果的には声優として活躍できる可能性が上がるとういうことなので、給与の仕組みについて知っておいて損はないでしょう。

そこで、下記では声優の給与の仕組みについて詳しく紹介していきたいと思います。

それぞれ説明していきますね。

日本俳優連合

日本俳優連合とはテレビ局や制作者などと対等に出演契約を結びにくい弱い立場の声優や俳優でも正当な条件で作品に出演できるようにと結成された組織になります。

声優を目指している人や興味あるかたは一度は耳にしたことがあるかもしれませんが、声優には『ランク制』というものがあります。

アニメのアフレコや海外映画の吹き替えの報酬は、ランク制という仕組みを利用して支払われます。

このランク制は当時声優の立場が弱かったことから正当な出演契約を結べずにいた声優達がデモを起こしたりと色々と行動した結果、日本俳優連合、日本音声製作者連盟、日本芸能マネージメント事業者協会などにより、現行の「ランク制」が出来上がったようですね。

ランク制とは？

声優のアニメアフレコや海外映画の吹き替えの出演料は『ランク制』と呼ばれる制度で定められており声優の出演料は下記3つから計算されています。

基本ランク
声優の技量、キャリア、人気などで決まり、日本俳優連合に所属すると新人はデビューから3年間はアニメ1本につき15,000円のジュニアランクになります。
ランクは15～45まであり、最下位はランク15で1本15,000円でその後は1ランク上がる度に1000円ずつアップしていきます。
最上位のランク45は1本45,000円であり、さらにその上に、上限なしの都度交渉可能なノーランクがありますね。

作品の放送時間（時間割増率）
テレビでの放送枠や劇場版の上映時間になります。30分枠を基準（1倍）として、60分枠が1.5倍、120分枠が2.3倍、180分枠では3倍などのように割増率が定められています。

初期目的利用料率
テレビアニメなどの利用目的別に利用率を定めたものになりますね。例えばテレビ放送の場合は80％、劇場公開の場合は150％となっています。

以上3つを計算式にあてはめて算出したものが出演料になることを覚えときましょう。

例えば新人声優として3年経過してジュニアランクからランク15になり、30分枠アニメに出演した場合、計算式に当てはめると、基本ランク(15,000円)×作品の放送時間(30分枠は1倍)×初期目的利用料率（100%＋初期目的利用料率80%） ＝ 27,000円になります。

ここから、事務所に所属している場合は報酬額からマネージメント料として20～30％、源泉徴収で10％が引かれるため、手取りは約16,000円くらいになります。

ランクを上げるのは注意が必要

声優のランクは毎年4月1日に更新されますが、一体どのようなことをすればランクが上がるのか気になる方もいるのではないでしょうか。

結論からいうと、自己申告制のため自由に上げることができます。

例えば、３年間のジュニアランクが終わりランク15になったとしましょう。

そこで、「15.000円はちょっと少ないから、もっとランク上げようかな」と思った場合、極論いきなりランク30にすることも可能です。

ですが、いきなりランク上げるのは注意が必要なことを覚えときましょう。

こちらも、結論からいうとランクをむやみに上げてしまうとアフレコの仕事が出来なくなってしまう可能性があるからです。

ランクを上げた場合のメリットは、もちろんアフレコ時の『報酬額が増える』ことですが、ランクを上げた場合に起きるデメリットは『仕事が来なくなる』になります。

理由は技量に見合わない声優に高い額の報酬を出すくらいなら、もっと報酬が安くて技量がある声優を使った方が費用的にいいと製作側が考えるからです。

アニメ１話(30分枠)あたりの制作費の平均は1,300万円といわれており、それを1クール(12話分)として考えたらアニメ1本作るのに必要な制作費用は1億5600万円かかり、更には放送費用や宣伝費などを入れた場合、2億円ほどになるでしょう。

この中で、アニメ制作スタッフ達の毎月の給料などを支払う必要があるため、制作者側としては下記のようなことを考えるのが普通です。

声優のランクというのは一般人には公開されていません。

ですが例えば誰もが知っている有名声優がランク15だった場合と新人声優のランクも同じ15だった場合、声優として製作者側はどちらを選ぶでしょうか？

知名度もあり、技術もある声優と知名度もないし、技術もない声優が仮に同じランクだったら、当然『知名度もあり、技術もある声優』を選ぶのが当たり前です。

このように、ランクをむやみに上げると仕事がこなくなるというのは、自分より知名度も高く技術もある声優達に支払う報酬が自分自身を起用するより安く済むという状況ができあがってしまうのが理由だと考えれます。

また、声優のランクというのは自由に上げることはできても、一度上げたランクを下げることができません。

そのため、むやみやたらにランクを上げてしまった場合は製作者側に起用して貰えなくなり、取り返しのつかない後悔をしてしまうかもしれないので、ランク上げの際はマネージャーや事務所と話し合い、今の自分に見合ったランクを選ぶことが大切です。

以上が声優の給与の仕組みになります。

今回の説明で、ますます新人声優の場合はアルバイトが必要なんだと感じたのではないでしょうか。

ですが、声優の仕事はアニメのアフレコや海外映画の吹き替えだけではありません。

下記では『声優の職種別報酬ランキング』を紹介していきたいと思います。

声優の職種別年収ランキング

声優一本で食べていける人は、ほんの一握りであると紹介してきましたが、新人声優であれば尚更です。

それでも声優を目指す人が年々増えているのは、それほど『声優』という職業に魅力を感じている人が多いからでしょう。

ですが、やはり最終的には「声優の仕事だけで食べていけるようになりたい！」と思いますよね。

声優の仕事はアニメのアフレコ以外にも色々とあり、報酬も様々です。

もし声優として年収や給与を上げたいなら『ランクの影響を受けない仕事を受ける』のがいいのではないでしょうか。

上記の仕事の各報酬というのは、正確には決まっておりません。

理由は、仕事を受ける声優や制作費によるからです。

例えば、ベテラン声優を起用する場合と新人声優を起用する場合とでは、いくらランクの影響を受けないとはいえ、差が出るのは当たり前ですよね。

また、何かを作るということは、製作費が必要になるということです。

製作費の中から起用した声優に報酬が支払われるため、制作費の低い仕事の依頼であれば報酬も低いですし、高ければ、その分報酬額も高いといえるでしょう。

それでも、各仕事の大体の報酬額について知りたい人は下記の記事を参考にして下さい。

制作費や声優の知名度・実力などで報酬額というのは変わってきますが、それでも比較的に報酬が高いといわれている仕事が下記になります。

順位	仕事内容
一位	パンチコ
二位	ゲーム
三位	テレビのナレーション
四位	アニメ

こちらは、フジテレビのバラエティ番組『佳代子の部屋～真夜中のゲーム会議～』にて番組調べでだされていますね。

他にも、テレビアニメ『ドラゴンボール』にて孫悟空役を演じている、ベテラン声優の野沢 雅子さんも2015年3月25日に放送されたバラエティ番組『ナカイの窓（日本テレビ系）』に出演した際に、「（パチンコは）全然違いますよね」と仰っているところから見ると、パンチコの案件は相当いいのが分かります。

しかし、最近ではパチンコやスロットなどはアニメやゲームのタイアップという形が主流のため、結局はアニメやゲームでメインキャラの役を演じる必要があります。

そのため、報酬の高いパチンコの仕事をされたい場合はまず、アニメやゲームで重要な役を演じることが大切といえますね。

声優別年収ランキング

ここまで読んで頂いた人なら、声優の年収の平均を出すのが難しく、年収はピンからキリだということを理解できたと思います。

ですが、それでも声優の上位層達は一体いくらくらい貰っているか気になる人もいることでしょう。

これから、紹介する声優の年収はネット上に上がっている情報のため確実ではないことを理解したうえで参考にして下さい。

順位	声優名	代表キャラ	推定年収
一位	林原めぐみ	綾波レイ(新世紀エヴァンゲリオン)	7000万円
二位	野沢雅子	孫悟空(ドラゴンボール)	4000万円
三位	堀川りょう	ベジータ(ドラゴンボール)	3000万円
四位	山寺宏一	加持リョウジ(新世紀エヴァンゲリオン)	2000万円
五位	水樹奈々	日向ヒナタ(NARUTO -ナルト-)	1600万円

声優の上位層であれば年収1000万円も超えられるようですが、あくまでネット上の噂になりますので、正確な金額ではありません。

ですが、どの人物もテレビアニメだけに出演されている人達ではなく、歌手による印税やテレビのナレーションやバラエティー番組の司会、学校の学院長など、マルチに活躍されている人達になります。

金額は正しくないかもしれませんが、声優として年収を上げていきたいのであればテレビアニメのアフレコだけではなく、色々な仕事に対応できるマルチ声優を目指すのがいいでしょう。

まとめ

今回は、声優の年収や給与の仕組みについてまとめてみました。

• 声優の年収や給与は人による
• アニメや洋画の吹き替えのアフレコはランク制によって報酬が計算されている
• 年収を上げたい場合はランク制の影響を受けない仕事を受ける

これから声優を目指している人はぜひ今回の記事を参考にして貰えればと思います！